2013年12月9日

ソウルカード



「これどうして日本で売らないの?」と私はタッチドローイング創始者のデボラ・コフチェイピンに聞いた。
「実はアプローチをかけたのだけど、日本の出版社に却下されたのよ」とデボラ。

「担当者は男性だった?女性だった?」
「男性よ。頭カタそうだった。」

「う〜ん、そうだろうなあ。はっきり言って、ソウルカードは他のタロットのようにキラキラした絵や色使いじゃないから、一般向けじゃないんでしょうね。出版社は売れそうなものしか扱わないと思うし、まだ今の日本には早いのかな・・・男性だと視点も感性も違うだろうし。それに、まだまだ書いてあるメッセージを受け取るだけの方を好む人も多いと思う」と私が言うと、デボラも頷いた。

ところがワークショップでこのソウルカードを使うと、参加者はカードに惹き付けられる。そしてカードを一枚引くと、誰もがそこに描かれた絵から何かしらのメッセージを受け取り、自分の今の心の状態に結びつけて、時には詳細に説明するのである。

明るくキラキラしたカードではない。どちらかと言うと、ドキッとさせたり心をザワザワさせるものが多い。カードの意味もメッセージもなく、ただ絵があるのみである。しかし、絵はそれを観る者の心のドアを叩く。

私のワークショップでは、通常、引いたカードをじっくり心で味わい、感じたことをシェアした後に、ドローイングのセッションに入る。その後、自分が描いた絵を振り返って感じたことをシェアし、最後に再び同じカードを眺めてもらう。すると、毎回ほとんど全員が最初とは異なるより肯定的な解釈をし、ドローイングを通して意識が変容したことを理解できるのである。

無意識の中にあったことがドローイングで浮上し、それを絵というかたちで見ることにより意識化され、言葉で説明することでさらに意識化が強化される。

カードを引くと、ほとんどの人が絵の人物は今の自分だと言う。そして、同じカードでも、引いた人によって全く異なる解釈となり、毎回その本人にとって重要であるメッセージが本人の口を通して出てくる。このことには驚くが、結局自分のことは自分が一番よく知っているのだろうから、当たり前のことなのだろう。

カードに書かれたメッセージやタロットリーダーを通じて教えてもらったメッセージが必要なときももちろんあるが、それに頼らず自分で感じ取ってみると、案外最も納得できるメッセージが、自然に自分の中から出てくるのではないだろうか。

妊娠と出産に不安を抱いていた妊婦の方は、このカードに、これから生まれてくる子供の愛を感じ取り、自分の未来に大きな希望を持つことができたと話してくれた。

この同じカードを引いた乳がんで片方の乳房を切除した方は、カードに自分の中の無垢な少女の存在と大人の自分を見て、切除はしたが自分の右胸には確かに乳房がある、失ってはいないと語った。




デボラによると、ソウルカードがカードになったのにも面白いエピソードがあるそうだ。ある日デボラが飛行機で移動中、たまたま隣り合わせになった男性と軽い会話をしていたら、話の流れで、かばんに入れてあった自分が描いた何十枚もの絵の写真を取り出して見せることになったという。

それを見た途端、男性が興奮して言ったそうだ。
「これだ、これなんだ!!これをカードにして、俺はこれからこれを使うんだ!」

彼は長年タロットリーディングを生業としてきたが、自分のリーディングはもう行き着くところまで行き着き、限界と物足りなさを感じて、これからどうしようかと思い悩んでいたという。

彼は、デボラの絵に自分の将来を見た。そこには、人からアドバイスを受けるのではなく、自分で見て自分でメッセージを受け取るクライアントがいた。

私も思うのであるが、カードを通して自分の心と対話する・・・結局、それが本人にとって一番深く納得できるものなのではないだろうか。

デボラにとって彼との出会いは必然的だったのだろう。それから間もなく、このカードが出来上がったそうである。

さて、あなたにこのカードをお見せしよう。このカードから何を感じますか?タッチドローイングをした後には、さらに異なった見方へと変化していることでしょう。



どのカードも深いメッセージをもたらすことでしょう。この中に気になるカードはありますか?



0 件のコメント: