2009年3月13日

豊かな島プエルトリコ - 第3日目(2)

<ポンセ>
ポンセはプエルトリコ第2の都市。にわか雨が降る中、街の中央広場(プラザ)の真正面にある由緒あるホテルにチェックインし、ガイドブックお勧めのプエルトリコ料理が楽しめるカジュアルスタイルのレストランに入った。

ここでは何とか英語が通じる。夫は自分は知っているが私は知らない料理を紹介したいのか、キャッサバのコロッケとバナナを揚げたものを前菜としてとった。前にも言ったように、ここは「青物」を食べる土地ではない。メニューを見ると揚げ物が目立つ。ふと沖縄を思い出した。沖縄でも魚のから揚げや、てんぷら、サーターアンダギーなど、揚げ物が多かった。これは、南の島として共通点、それとも単にスペイン・ポルトガルの影響?

キャッサバのコロッケ。キャッサバは芋で、タピオカの原料だという。

外側はサクッとしていて軽い感じ。キャッサバの食感はどこか牛のミンチに似ているが、植物なのであっさりしている。


バナナは、「プランテイン」と呼ばれる料理用のもの。硬くて青いバナナとそれが熟した黄色いバナナの2種類あるが、どちらも揚げて食べる。青いバナナは、歯ごたえがあって甘くないサツマイモのような食感で、黄色いバナナは甘みと適度な酸味がある。

これは黄色いバナナを揚げたもの。美味で、すぐにとりこになってしまった。


後日、義母の家でトライした。プランテインは生食用バナナとは形も少し違う。

両面を揚げるだけで、美味しく出来上がり。


私が注文したものは、マヒマヒ(シイラ)という魚にローストペパーソースをかけて、エビを乗せたもの。ライス&ビーンズはプエルトリコの主食ともいうべき食べ物で、ご飯に豆をかけて食べる。すぐにお米が恋しくなる日本人には有り難い。

ただし、プエルトリコでは米は必ずアルデンテなので、ふっくら柔らかご飯を食べつけている日本人には「芯のある」米として違和感を感じるかもしれない。付け合せの冷凍ミックスベジタブルが、いかにここでは本来はこういうものを食べないかを物語っている。


ホテルのバルコニーに出ると、プラザの向こうに教会が見える。街はスペイン風の建物が立ち並び、異国情緒たっぷり。


8時頃から大きな音で歌声が聞こえてきた。ホテルのレストランでコンサートでもやっているのかと思ったら、プラザの一角で一人の男性がマイクのボリュームをいっぱいにして、音楽を流して歌っていたのだった。

ホテルの人によると、その男性は毎週そこへやって来て、歌で宗教の連帯を呼びかけているらしい。「ハレルヤ!ハレルヤ!」と叫んだり、サルサのような威勢のよいリズムの曲も混じったりして、いやあ、これが宗教? リズム的には情熱的な恋愛の曲じゃない。面白い国だなあ。

ホテルの人の「すぐ終わりますよ」という言葉を鵜呑みにしてしまった私たち。こちらの「すぐ」はやはり「かなり長い」だった。結局、そのワンマンショーは延々11時くらいまで続いた。

それにしても、夜のプラザは賑やかだった。大きな歌声で眠れそうもないので、私たちはプラザに行ってみることにした。

プラザ中央の噴水


泊まっているホテルの下の階にアイスクリーム屋があり、長蛇の列ができている。すでに11時を回っているというのに、人の多いこと。シアトルは8時には閑散としているが、プエルトリコは夜が勝負という感じ。みんな夜になると元気になるのか、それともいつも元気なのか。とにかく、何をするのでもないけれど、集まっておしゃべりをしている。

気温28度の蒸し暑い夜に食べるココナツアイスクリームは、あっさりしていて美味しかった。

歌も終わり、静かになった部屋に戻った。今日は前半はひもじかったけれど、後半は美味しいディナーにアイスクリームと、色々食べられて満足満足、さあ寝よう。昨日の夜はうるさかったからなあ。

ベッドに入って10分ほどたったとき、突然ホテルが揺れ始めた。「ドン、ドドン・・ドン、ドドン」

窓を全開にしてステレオのボリュームを一杯にして、前の道を車がゆっくりと通ってゆく。それが近づくにつれ、部屋の壁がビリビリいった。ラップのリズム。シアトルでもギャングのような若者がよくやっている。音の振動に反応して、路上に駐車してあった車の警報機が鳴り響いた。

宗教の歌でもかなり迷惑だと思ったのに、それが「前座」だったとは・・・。この街の騒音に関する法規制は一体どうなっているのか。

「ブンブンブン、ドン、ドドン(ラップ)」
「ピーポーピーポー、ビーッビーッ(警報機)」
「チャンチャチャーン(サルサ)」

音のオンパレード。ほとんど数分おきに、このうちのどれかが建物を揺らす。私たちの部屋は2階にあるので音が直接上がってきて、部屋全体がビリビリ、ミシミシ。音が跳ね返ってグワングワンいっている。そのたびに私の心臓はバクバクして、体がカーッと熱くなった。

夫はいつも必ず耳栓をして寝るので、日本の右翼の街宣車顔負けのこの大騒音も何のその。気持ちよさそうに熟睡している。夫よ、君はアッパレじゃ。

それでも、一度トイレに起きた夫はこの音を聞いた。そのときちょうど車の警報機が鳴っていたので、私たちの車かと思い、血相を変えてバルコニーに飛び出した。

「そんなもん、1時間前から何度も鳴ってるわい」

夫曰く、それは別にギャングでも何でもなく、週末に街の若者が音楽をガンガンにかけてプラザに車を乗り入れ、「男らしさ」を見せびらかしていただけのこと。

午前2時・・・3時。一体この地獄のような状況はいつ終わるのか。時間だけが過ぎていく中、熟睡する夫を横目に、プエルトリコには将来また来たいが、週末の街中に泊まるのは絶対これを最後にしようと肝に銘じた。

<つづく>

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