2007年11月1日

死んだことを知らない人々(4)

夢の中で死んだ人に出会うという体験は、一定の期間に集中していた。それは「People Who Don’t Know They Are Dead (死んだことを知らない人々)」という本を読んでいる間に起こり、また体験の内容も、読んで知った内容とほぼ並行しているようであった。

今まで出会ったのは普通の人たちで、経験のほとんどない私が出会うにふさわしい人たちだったのかもしれない。しかし、世の中には色々な人がいて、中にはタチの悪いヤツもいる。さまよう魂の中には、怒りや悪意などのネガティブな感情を持ったものもいる。

次には、そのような魂に出会った。

私の寝室の窓の向こうは、少し離れて隣の家のバルコニーであるが、このバルコニーは迷惑の種であった。隣に住んでいる学生連中がパーティをして夜中に涼みがてらバルコニーに出て来ておしゃべりを始めると、バルコニーはうちの寝室の窓よりかなり低い位置にあるので、窓が閉まっていても音が上に上がってきて、まるで耳元で話されているようでうるさい。特に、去年までは夏になると幾度となくパーティが開かれ、その都度夫が苦情を言いに行っていた。しかし、夏が過ぎると新しい人たちが入り、パーティをしないのか、しても部屋の中で済ますのか、とにかく騒音問題は解決した。やっとこれからは静かに眠れる。

と思ったのもつかの間。ある雨降りの秋の日の午前2時ごろ、寝ていたら隣のバルコニーで材木をかなづちでトントン叩いて、大工仕事か何かをしている音が聞こえてきた。この音で、寝ているのに起きた状態になってしまった私の目に、精を出して作業をしている男性の姿が一瞬よぎった。「うるさいな」と思った瞬間、それが言葉になって出ていた。どうも、このモードに切り替わると、思ったことがすぐ実行されている。

「ちょっとあんた、何時だと思ってるの。今は夜中で、生きている人間が寝ている時間でしょ。静かにしてよ!!」
自分の口調に自分でも驚いた。いつもは穏やかな(?)私が怒っている。「え~?、こんな強い調子で言っていいのかな~」と、もうひとりの自分が面食らっていた。

すぐにかなづちの音が止まったかと思うと、ブーンと虫が飛ぶような音が聞こえてきて、次の瞬間、その魂は仰向けに寝ている私の左ひじの辺りに来た。窓は右側だが、一瞬のうちに入って来てそこにいたのだ。

その人は怒っていた。「うるさいのはお前だ!俺のやることに邪魔するな!」と。「人」といっても人の形はしておらず、怒ったエネルギーの塊であった。横から見ると平たいディスク状のもので、周りにまるでのこぎりのようなギザギザの歯が付いているように感じる。上から見ると台風や竜巻のような渦巻き状の形をしているようだ。それがブンブン言って、渦巻きながら私のひじの辺りに近づいてきた。

すべてのものは波動のエネルギーで構成され、固有の速さで振動している。人間も霊性が高くなると波動が高くなり、振動が細かくなるということをご存知の方も多いだろう。

しかし、この魂は怒りというネガティブなエネルギーに包まれていて、振動が低くて荒い。そのため、ブーンとにぶく荒い音が聞こえる。エネルギー自体強く、荒い丸のこぎりの様なものがひじの辺りに当たってくる感触であった。

直感的に、この渦巻きが腕を超えて腹部や胸部に至ると危ないと感じたので、私は慌ててガイドを呼んで、自分の周りにプロテクトする白い光をイメージしたら、相手はそれに押されたように、スッと退散した。

今まで出会った魂たちとは異なり、「触らぬ魂にたたりなし」という感じで、光に導くなど余計なことはしない方がよいタイプであったようだ。悪意を持っているとまではいかなかったが、ネガティブなエネルギーであった。そういうのには気をつけた方がよい。よい勉強になった。

これで、集中的な体験はひとまず終わった。しかし、これは実はある出来事の予行演習みたいなものであったと、後になって知ることになる。それについては、もっと後でお話しすることにしよう。次は全く違う話題に変えようと思う。

おわり

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