2007年10月17日

赤い山


地球温暖化問題で啓発活動を行うアルゴア前副大統領が、先日ノーベル平和賞を受賞した。これは、今の私たちにとって大きな意味がある。科学者と共に取り組み、綿密な調査を重ねデータを集めて分析し、一般の人がわかりやすいように説明をしてくれた彼の功績は偉大だと思う。

また、彼が前副大統領として知名度が高いこと、それに政治家が持つスピーチとプレゼンテーションの力もプラスになり、科学者には申し訳ないが、専門家が説明するよりもはるかにパワフルで効果的であるのではないかと思う。

地球が危機的な状態にある中、一人一人が具体的に行動することが急がれている。しかし、悲しいかな、私も含め多くの人は、頭ではわかっているものの、自分の腹が痛まない限り、ある程度のことはしても習慣に流され、本当に真剣に行動している人は少ないのではないだろうか。

アルゴアの「An Inconvenient Truth (不都合な真実)」の中で、破壊されてゆく自然を2枚の写真で比べるシーンがいくつかある。その中で、山の木が虫に食われて枯れて赤くなっているものがあるのをご記憶だろうか。

私は、今年の夏にカナダのブリティッシュ・コロンビア州のウェルズ・グレイ州立公園に行ったときに、ショッキングな光景に出会った。まさに「不都合な真実」の映画で見たものを、直に見ることになったのだ。数年前からほとんど毎年夏になると夫とここで数日を過ごしてきたが、もう今年が最後だと強く感じて悲しくなった。

数年前に来たときは、緑豊かでとても波動の高い場所であった。それが、3年前くらいから山の中に赤い色が混じり始めた。Mountain Pine Beetleというキクイムシに食われた松の木が、枯れて赤くなっているのだ。今年の夏に行ったときには、その範囲がグンと広がって、キクイムシが猛烈な勢いで増えているのがわかる。2週間で1本が死滅するそうだ。2週間なんてアッという間ではないか!今までは冬の低い気温ではキクイムシは生き延びることができなかったが、温暖化によって活動を続けることが可能になったということである。

展望台から見える前方の三角の山とその周辺が赤くなっている(2007年7月撮影)。間違っても紅葉ではない。数年前の写真があったらその違いがはっきりわかるが、残念ながら今年のものだけしかない。


山は泣いている
赤い山、変わり果てた姿
キクイムシが針葉樹を食い尽して行く
ものすごいスピードで
山はなすすべもない

虫が食い尽す
それは人間がその貪欲さで地球をどんどん破壊しているのに似ている
虫が松を食い尽くして行く
人が地球を食い尽くそうとしている

赤い山は拡大し続ける
山が泣いている
息も絶え絶えだ
地球が痛みを訴えている

我是知足
人間はいつになったら気づくのだろうか
松は枯れて死に絶え
ついには虫も自滅の道をたどる

キクイムシは人間を象徴している
山の声、地球の叫びが聞こえないか

我是知足
もう時間がない

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